ジュリエット・ビノシュが演じる魅力的なヒロインが見られる「トリコロール青の愛」

フランス女性が「きれい」とか「かわいい」という言葉より好きなほめ言葉は知性的です。

この言葉をその通り体現しているのが、1993年クシシュトフ・キェシロフスキ監督製作の映画『トリコロール/青の愛』で主役を務めているジュリエット・ビノシュです。彼女はこの作品で第50回のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したのをはじめ、女優として高い評価を得る事が出来ました。日本人は容姿を褒められると喜ぶ傾向がありますが、フランス人の女性は違います。

どちらかというと容姿よりも中身、「知性的」だと言われたいと考えています。彼女たちにとって誰かを誘惑するという事は、あくまでも自分のパーソナリティーを好きになってもらうための手段なので、セクシャリティだけの部分をアピールしているわけではありません。

ジュリエットは自動車事故で夫と娘を同時に亡くす女性、ジュリーを演じています。多くの女性達と同じようにジュリーは悲しみに暮れ、何も手につかない日々が続きます。

以前から好意を持っていた夫の同僚オリヴィエと一晩を共にした後、何もなかったようにその地を離れパリに住み始めます。フランスでは自分をうまくプレゼンテーションする事にたけている人は生きるのが上手だと言われます。恋愛以外でもお店の店員や取引先の担当者に自分を魅力的に見せるための努力を怠りません。

何故そうするのかというと、フランス人が自国で生活のレベルを上げるのには、あらゆる制度の手続きをスムーズに済ませる必要がありますが、時間がかかる傾向があるので常日頃から他人との関わりを大切にしなければならないからです。ジュリーがオリヴィエに好意を持たれたのも、自分を魅力的に見せる事に成功した結果だとも言えます。

夫の死後訪ねてきた彼に見せたのは強い仮面の下にひた隠しにしていた脆い時分でしたが、翌朝には独りで生きる自分を取り戻しているのは知性的である証拠です。彼女は「孤独」と共に作品のテーマである「自由」を手にしました。

彼女はオリヴィエと一夜を共に過ごすことによって「過去との決別」をしたのです。全体に青みを帯びた画面とジュリエットが身に着けていたパリジェンヌを象徴する黒のタートルニットが彼女の魅力を引き立てていて、とても良い映画です。

参考サイト:
http://president.jp/articles/-/19286
https://charmy.co/13663